ukiyoneko’s blog

紺猫の婚活記録

ep-4「年下のイケメン×感受性(前編)」

紺猫の婚活記録

ー前回までのあらすじー

3年付き合った彼氏に振られ、婚活パーティー゛街コン ″に繰り出した紺猫。

しかし運良く交際に発展した佐藤とも1か月ほどで破局…。

再び参加した婚活パーティーでは一癖も二癖もある参加者たちと出会う、、

 

《登場人物》

紺猫…容姿平凡、振られた怒りを原動力に婚活に励む(27歳女独身)

ミケちゃん…紺猫の高校からの友人で飲み仲間(27歳女独身)

阿部…2.5次元俳優にいそう。モテそうなのにモテていない謎のイケメン(25歳男独身)

山田…前回の街コン参加者、正体不明のライアーマン(自称30歳)

 

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婚活を始めてはや1年、気付けば27歳になっていた。

今振り返ると当時、、27歳になってからは《何か》に追われている感覚がより強くなっていたように思う。

この何か、はもちろん《時間》である。ひと月過ぎるごとにカウントダウンしてしまう自分がいる。

そして焦りはどんどん強くなる。

だが当時の私に教えてあげたい。

焦ってはいけない、けれど慎重になって失敗を避けてばかりでは気付けないこともある。その時は辛いけれど、悲しい経験もまた必要なことだったんだよと。

 

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「逆算したら、大変なことに気づいた!なんと、今年中に良い人に出会わないとあっという間に30歳になってしまうのです…」

「ふむ、それはどういう計算?」

「ミケちゃん、よくぞ聞いてくれました!いい?私は27歳を迎えました。出会うまでに数ヶ月、良い人に出会ってから5回くらいはご飯に行ったりするとして交際に至るまで3~4ヶ月、そして2年付き合って結婚するとしたら…27~28歳で彼氏がいないとな、という計算です」

「その計画通りにいくなら苦労しないわ(きっと上手くいくよ紺猫ちゃん!)」

「いやミケちゃん本音と建て前が逆だよ…」

「ともかく、応援はするけどあんまり一喜一憂しない方が上手くいくんじゃないかなーなんて」

「それはそうかも。肩の力を抜いた時に上手くいくってことあるもんね」

ーーピロン

「んん?え…!!」

「どしたの紺猫ちゃん」

紺猫に届いた一通の通知、それは街コンの運営会社からだった。

そして内容は、、

「山田さんって人の話したの覚えてる?プロフィールも会話も全部が嘘っぽい人」

「ああ、電話で話したライアーマンね」

「私が行った街コンて、当日参加者同士で連絡先が交換できなかった場合、運営に言えば間に入って取り持ってくれることもあるらしいのよ。その連絡が、来た」

「なるほど、男性○番さんに連絡先教えても良いですか?って連絡が来るんだ。でも普通にお断りでは」

「そうだね、あのトークの後に連絡先を交換しようと思える人は少ないかと…」

「これではっきりしたね、やっぱり彼氏は作らないと」

「…私はこれまで、彼氏は作るもんじゃないと思ってきた。いや今もだけどさ、順番が逆だなって思っちゃうんだよね。彼氏が欲しい、が先に来るんじゃなくて、お互い想い合える人が欲しい!この人と一緒にいたい、からのカップリングなんじゃないの?」

「真面目だな~。誰でもいいわけじゃない、それは理想だけどでもそれを30歳になっても言うつもり?」

「はあ、分かってますよ。だから彼氏を作るための場所に行ってるでしょ」

 

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人生はトライ&エラーの繰り返し

(でもそれ、婚活においては終わりが欲しい、、)

コツ、コツ、、夜の街にヒールの音が響く。

(今度こそは!結婚を見据えられる人を見つけてみせる!)

本日の街コン、テーマは、、

~25-33歳限定!歳の差8歳まで、人気職のカレ・カノジョとカップリング編~

今回紺猫が首からぶら下げているのは8番のカード。

この街コンではしばしば年齢だけではなく職業も限定されている回がある。

例えば公務員や士業限定、などだ。女性であれば看護師や保育士の参加が多いらしい。

ただ、定員割れしている場合はもう少し職業の範囲を広げている印象であるし、年齢もプラスマイナス1歳くらいなら参加は可能だ。

今回も、そういった職業の人が多く参加している回のようだ。

ちなみに紺猫の職業は士業である。

(職業ねえ、、正直私は相手の職業はなんでもいい派だけど婚活ともなればそうは言ってられないのかなあ。それよりは年齢の方が大事かもしれない、できれば同い年くらいがいいな~なんて)

クロは同級生、その前の彼氏も同い年、、年上の人と付き合った経験は、実は佐藤が初めてだった。そして年上男性が少し苦手になったのはここだけの話である。

(それにしても、時間ギリギリだった。早く席でプロフィールカード書かないと)

やや急ぎ足で8番テーブルに向かう。後ろ姿しか見えないが、ペンを持っていない8番の男性はすでにプロフィールカードを書き終わっているようだ。

すみません、と横を通り8番男性の向かいに座る。

荷物を置いて顔を上げるとバチッと目が合う。8番さんは少し目を見開いて、そのあと会釈を返してくれた。

こんばんは、と軽く会釈して紺猫はペンをとる、が、相手の顔が目に焼き付いておまけに視線も感じ上手く集中できない。

(かっこ、いい。緊張するからあまり見ないでほしいんだけども)

すっと通った鼻、二重の大きな目、綺麗にスタイリングされた明るめの黒髪。

小麦色の肌は健康的で、ニキビなんて見当たらない。

(普通にしてたらモテそうだけどな。でもさっき、なんであんなに驚いたような顔してたんだろ)

そしてその疑問の答えは、プロフェールカードを書き終わり、開始のベルが鳴る直前に判明する。

「あの、L〇NE教えてくれませんか?一目ぼれしました」

「、、、え?今なんて?」

「あの、連絡先を教え「いえ、それは聞こえてたんですけど、まだ始まってもないですし、それに連絡先なら最後に3人に渡せるのでそのカードを見てもらえば...」

「でも、そのカードを貰えて、いざ連絡しようとした時スペルが間違ってたり、わざと連絡のつかないものを適当に書いてるかもしれないじゃないですか」

(なるほど、たしかにそんなこともあるかもしれない、、)

「えっと、わかりました。じゃあL〇NE交換しましょう。私が読み込みますね」

「僕が読みこんじゃダメですか?」

「うーん、どっちも一緒じゃないですか?」

「読み込まれただけじゃ、僕の方には追加されないので。連絡とらずにそのままフェードアウトされちゃうかもしれないでしょ、僕からも連絡とれるようにしたいんです」

しゅん、とするイケメンについ判断甘くなる。

「…じゃあ、どうぞ」

(何がどうぞ、だ!しっかりしろ私、先に中身を知るんじゃなかったのか)

こうして中身を置き去りにした婚活パーティーは幕を開ける。

「えっと、とりあえずプロフィールカードを交換しましょう」

開始のベルが鳴ったためとりあえず自己紹介を行う。

「阿部さんは25歳なんですね」

「はい、年下はありですか?」

「あ、あまり考えたことなかったけど、2、3歳ならあんまり気にならないかも」

良かった、と言って笑う阿部さんに謎が深まる。

(なぜ私はこんなに懐かれてるんだろ。これを色んな人にやってるとか…?まあ警戒するに越したことはないか、連絡先は交換しちゃったけど…)

「初めて見た時から、絶対に連絡先を交換しないとと思ったんです。すごく、タイプで…」

「はは、ありがとうございます…」

その後もストレート球を投げられ続けたが、チリンチリン、とベルが鳴りようやく席が回転する。

(彼はイタリア人の血でも流れてるんだろうか、好意は嬉しいけど慣れないものは、上手くもらえない)

「よろしくお願いします」

切り替えて次の人と会話するが、目は阿部さんを追っている。

(他の人とも連絡先を交換してるんじゃないかって思ったけど、そんな感じじゃないな。それに、あまり冗談を言うようなタイプには思えなかった)

他の人と話している時はむしろ受け身のように、見える。

(じゃあもし、私だけに真剣だったら、、その時はどうする?)

なんてことを自問自答するが答えは出ない。

 

チリンチリン

最後のベルが鳴った。

つまり、最初の席に戻ったのだ。

「やっと戻ってこれた。早く紺猫さんに会いたかったです」

(これが天然なら、そっちの方が怖いかも)

この中で誰に連絡先カードを渡すのか、一番いいなと思った人は誰だったのか、カードに記入しスタッフが回収する。

「では、本日めでたくカップリングした人たちを発表したいと思います!

8番の男性とーーー、8番の女性です!!おめでとうございま~す」

声高らかなスタッフの発表を聞き、恥ずかしくなる。

「良かった、僕カップリングになれたの初めてです」

阿部さんが綺麗な顔ではにかんでいる。

 

(ああ、私って単純でちょろい女なのかもしれない、、)

 

 

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婚活する猫、紺猫です。

みなさんは相手の職業や年収は真っ先に知りたいタイプでしょうか、それともフィーリング重視で職業はあとからタイプ?

ep-1の後編本編中で書きましたが、私は職業で中身まで決めつけられることに辟易としていた時期があったので、お相手の職業もそれほど重視しなくなりました。

職業で人間の価値が決まるわけではありません、しかし結婚となると1対1の問題ではなく家族や友人付き合いもあります。

私の友人に、結婚はこの職業の人じゃないと認めない、と親に言い聞かされている子もいました。自分の親はどういうところで人を判断しているのか、は結婚に影響するのかもしれませんね。

《ステータス》ではなく、そのステータスまでの《努力》を尊敬し褒めあえる人に出会えたら素敵だなと思います。

 

さて、紺猫は阿部さんの人となりを正しく知ることができるでしょうか。

 

 

∇次回

ep-4「年下のイケメン×感受性(後編)」

 

2024年12月某日更新予定